南陽TIMES「卒業おめでとう~優と恕を~」
2016年3月3日 10時13分弥生三月一日、本校体育館において第25回卒業証書授与式が挙行されました。
ご来賓の皆様、保護者の皆様、教職員、在校生が見守る厳かな雰囲気の中、167名が巣立っていきました。
式の最後には「蛍の光」と「校歌」合唱のハーモニーが響き渡り、それぞれの心に南陽高校でのたくさんの思い出がこみあげました。
学校長式辞を抜粋して紹介します。
「(前略)卒業を迎えた皆さんは、平成二十五年の春、将来に向けて大きな夢と希望に胸を膨らませ、この躍進する南陽高校の門をくぐり、以来三年間、「自修 自律 自助 和敬」の教育目標のもと、学習や学校行事、部活動、生徒会活動、ボランティア等に励み、仲間たちとの友情を育み、ひたむきな高校生活を送ってきました。本校の目指すところである、知、徳、体の調和した視野の広い人間に育ってくれたものと確信しています。(中略)
皆さんの歩みに、評定をつけるとすれば、優れるの「優」の一文字がふさわしいでしょう。「優」は優しさの優でもあり、卒業生の皆さんが育んできた「優しさと思いやりの心」をも表していると、私は考えています。そしてその優しさと思いやりは、社会に貢献しうるに十分なまで、強くしなやかな心に成長したといえます。
この「優」の心をもってこれから新しい道を歩んでいく皆さんに、はなむけ(贐)としてもう一つの言葉、「恕」という一文字を贈ります。
中国の古典である論語、そのなかで、孔子とその弟子は次のようなやりとりをしています。弟子は孔子に聞きます。「先生、たった一語で、一生それを守っていれば間違いのない人生が送れる、そういう言葉がありますか」孔子は、「それは、恕なるかな」と答えました。「自分がされたくないことは人にはしてはならない、それが恕だ」と孔子は説きました。
この「恕の心」、とても奥が深く、決して簡単な教えではありません。自分と異なる他人、他を受け容れ、認め、許し、その気持をおもんぱかる心が「恕」であると、私なりに解しています。他人のことを自分のことと同じように考える。そのことこそ、人生で一番大切なことだ、と孔子は教えたのだと思います。
今、私たちを取り巻く世の中は、環境問題、少子高齢化、政治と経済の危機等、多くの課題に直面し、世界中で歯車の軋む音が聞こえています。しかし、そんなときだからこそ、「恕の心」の意味を深く考え、皆さんが本校で培った強くしなやかな「優の心」を持って、粘り強く、たくましく人生を切り開いていかれんことを願ってやみません。
最後に、卒業生の皆さんへのお願いです、このたびの卒業に当たって、これまで長い間、君たちを温かく見守ってくださった保護者やご家族の方々への、感謝の気持ちを忘れないでいただきたい。今日ご家庭に帰ったときに、「ありがとう」の言葉を素直に伝えて下さい。これこそ「恕」と「優」の第一歩であるはずですから。
皆さんの健康と、前途に幸多からんことを念じ、式辞といたします。」